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"文学少女"と死にたがりの道化 / 野村美月

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さてファミ通文庫です。エンターブレインですね!
以前から注目していた作品でしたが、今回勢いに任せて購入してバイト中にじっくり読み耽っていました。
そのためかバイトの3時間で呆気無く読破。

兎に角この作品は今まで色々ライトノベルを読んできましたがその中でも主軸となる主人公の語り部口調が物凄いライト。
軽いというよりは端的、くどい表現を一切排除して、見たまま感じたままをスラッと言ってのけるもので、
そのためまず何より分かり易い!
場面の雰囲気がすぐに構図として描けます。
あと展開が超スピーディー。あーっという間に事件が進んでいくのは徒競走しているようで爽快でした。
その部分は主人公の心理描写なども端折られてしまっている感は拭えませんでしたが。

ただ初めての作品にしては題材の選択が少々重すぎたと思いましたね!
多少ネタバレになるのですが、今回この作品のテーマとして取り上げられているのは、
あの昭和文学史の鬼才『太宰治』でして、要所要所で彼の作品と関連付けてストーリーが進んでいきます。
(というかばらしてしまうと『人間失格』なんですけどね)
僕も何度かトライしましたが(しかも本格的に小説読む前なので)その度に内容の無常さについていく事が出来ずドロップアウト。
太宰治はそういう意味でも自分には割かし難易度の高い相手です。
そうなると必然的にそれが主題の今作も、多少敬遠したくなる要素になってしまうわけでして……。
上で展開の流れの良さを言いましたが、逆にその説明パートは如何ともしがたい温度差を感じてしまいました。
確かに"文学少女"を強く印象付けるとするならば、日本の文学の最高峰の一人たる太宰治はその破天荒な作品も相まって最適なんだろうとは思いますけどね。

あとヒロインのキャラをもっと際立たせてもいい気はしました。
これではただの変人で収まっちゃっている感じなので……。

上で書いた太宰パート以外の読みやすさは保障します。
文字を普段読まない人でもとっつき易いだろう一冊(だと思います多分)。

あー感想を上手く書く能力が欲しい。
by lion-cage | 2007-05-15 23:56 | Review-ブック


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